ブラインシュリンプのライフサイクル

ブラインシュリンプのライフサイクル
原文Brine Shrimp Lifecycle (the U.S. Geological Survey)

太平洋貿易株式会社  松本 美雪

ブラインシュリンプ(Artemia)は、節足動物門Arthropoda、甲殻亜門Crustaceaに属します。
アルテミアには世界中にいくつかの種が存在しており、中でもグレイトソルトレイク(以下GSL)及びサンフランシスコ湾に生息するのはArtemia franciscanaという種です。
アルテミアは、捕食者や競争相手が少なく、また藻類のよく繁殖する高塩分湖(塩分は25%にもなり得る)に住んでいます。
アルテミアのライフサイクルは、代謝が停止した状態の幼生の入った、休眠状態のシストから始まります。
シストはとても硬く、乾いた状態に保たれれば何年もの間、再生可能な状態で残ります。
GSLの水温と塩分の変化は2月ごろに起こり、その変化はシストを再水和させ、成長段階の最初のステージであるノープリウス幼生の誕生を促します。
水温によりますが、幼生は次の成長段階への脱皮の前に蓄えた卵黄を消費することで約12時間この状態に留まります。
第2ステージへと成長した幼生は髪毛様の触覚(setae)を使い、微細藻類の細胞や破片を食べます。

シストは直径約200μmととても小さいですが、これらは時折おびただしい数となり、湖の表面に大きな赤茶色の縞模様となって現れることもあります。
食料が豊富で、高塩分や溶存酸素の低下によるストレスの少ない環境下では、受精したメスは卵嚢から排出されるとすぐに孵化する卵を産む、いわゆる卵胎生生殖を行います。
もし彼らの繁殖にとって完璧な条件下であれば、メスは3ヶ月近く生き、その間、4日に一度300ものノープリあるいはシストを生産します。
しかし、GSLにおける春季の低水温や不安定な食料事情により、個体群は通常で年間2~3世代に留まります。
ノープリは、体長10mmの成体になるまでに、15回ほどの脱皮を繰り返します。
オスの成体は、頭の先にある大きなグラスパー(捕捉触手)により簡単に見分けることができます。
このグラスパーは触手が変化したもので、脱皮時にメスを自分のほうへ引き寄せるために使います。
GSLに生息するArtemia franciscanaの個体群にはオス・メスが存在し、性的な生殖もしますが、その他の数種のアルテミアは、単為生殖(オスのいない間メス単一で繁殖する生殖様式)を行うことが分かっています。
成体は、主として水中に漂う植物プランクトンを餌としますが、藍藻や、浅瀬の底に生える珪藻などの底生藻類を摂取することもできます。
もし、すでに排泄された彼らの糞に未消化の植物プランクトンが大量に含まれている場合は、その糞を摂取することもあります。
また、何回もの脱皮によって出たアルテミアの外骨格の一部に定着した珪藻を摂食することも、最近の調査によって明らかになっています。
食料の枯渇、塩分濃度の上昇、溶存酸素の減少、もしくはこれらが同時に起こることによって、メスは卵胎生生殖からシストの生産に切り替えます。
一般的に、GSLでは12月に起こる食料不足や低水温によってほとんどの成体が死滅します。
水温が3℃の時にアルテミアが観測されることもありますが、この水温下では生殖活動を行うことはほぼ不可能であると考えられます。
生産されたシストは塩湖の水よりも軽いため、湖面に浮きます。
それらは、人間によって収穫されるか、もしくは次の世代を形成するためにシストのまま越冬することになります。

資料:the U.S. Geological Surveyホームページより
Brine Shrimp and Ecology of Great Salt Lake
Brine Shrimp Lifecycle

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