ACN 養殖概況

<マダイ>
2008年になって下落したマダイ相場は、600円/kg程度のまま低迷を続け、8月末時点では620~640円/kg程度まで若干の上昇があったが、依然として大変厳しい状況が続いている。2007年の韓国向け輸出減の影響で在庫増となっていた2kgupマダイは、夏までに出荷が進み、在池も大分減少した。しかし、マダイ相場は低迷したままで、出荷サイズのマダイ在池は未だ多い傾向で、マダイ種苗導入も鈍っている傾向にある。韓国へのマダイ輸出が今年上半期で再び増加(宇和島港より)に転じているが、価格は安く、マダイ相場を大きく引き上げるだけの影響力をもっていないと推測される。関連資材や飼料、生餌の価格上昇が起こる中、成魚価格低迷が続いており、マダイ養殖での利益確保が難しい情勢となっている。来年に向けてマダイ価格の持ち直しが予測、期待されるが、成魚相場の変化に今後の養殖動向、種苗動向が左右されることになるだろう。
疾病では、イリドウィルスが散発的に発現。愛媛、熊本などで一部斃死が発生したが、一昨年のような大規模な被害には到っていない。また、昨年から見られるようになった連鎖球菌症が今年も継続して確認されており、今後の慢性的な発症が危惧される。育成状況としては、今夏の猛暑による水温上昇、赤潮発生などにより給餌制限などによる成長低迷は起きているが、逆に8月後半には水温低下が生じ、好環境に転じている。

<ヒラメ>
現在の成魚相場は、キロ物で1,250~1,350円/kg。昨年の1,700~1,800円/kgに比べて相場は弱含みで推移している※。本年は昨年に比べ高水温の期間が短く、水温の低下が早かったためエドワジェラ症が減少したが、代わりに新型レンサ球菌症が各生産地で猛威を振るっており深刻な被害状況となっている。そのため国産ヒラメの歩留まり低下に加えて成長不良が生産者の経営を圧迫している。
※ACN養殖用種苗速報<ヒラメ>韓国からの輸入 参照

<トラフグ>
トラフグ外食チェーン店は中国産の確保及び品質(安心・安全)面に大きな不安を感じており、国内養殖場からの中間魚・成魚の確保を年明け1月より精力的に始めた。
11月~12月の800g/尾は中国産が主流のため国産はもともと品薄である。そのため4月に300g/尾の中間魚を1,100円/尾で3万尾購入し、12月800g/尾出荷を目指して管理料・餌料代100円/尾/月の条件提示をする会社もあった。別途、国内養殖場の買収、提携等での関係強化を計るなど、国産の安定供給を狙う動きが活発である。
中国産餃子と同様に中国産トラフグも日本市場から消えたかのように思うのは幻想である。中国ではトラフグ輸出価格の低下で資金繰りが悪化し廃業にいたる養殖場がかなりあるとの情報があるものの、現在もトラフグが養殖されており、しかも「トラフグ食」は原則禁止、日本の外食チェーン店は中国産が不可欠なのである。実際、中国からの活魚(トラフグが主体)輸入量を検索※してみると、2006年1~7月693トン、2007年1~7月684トン、2008年1~7月642トンとほぼ同量が輸入されている。しばらくは養殖場から種苗の活発な引き合いが持続すると思われるが、成魚価格の高騰は、消費離れに直結するので、その動向を注意深く見守る必要がある。 
※財務省HP通関統計より

<ハマチ>
今期のハマチ浜相場は、品薄感から5月後半より上昇し、鹿児島や高知など各地で3㎏サイズにて一時は850円/㎏となった。8月に入ってブリ新物(4㎏台)の出荷が一部業者で開始された際にも4㎏サイズにて850円/㎏が維持され、ここ数年の中では高値にて推移した。その一方で、浜値急騰を受けて需要が減少し、東京及び大阪市場への入荷は前年同月に対して2~4割と大幅減となった。
このため浜値は弱気配にあり、9月上旬現在、鹿児島にて4㎏サイズは820円/kgとなっている。また、3㎏サイズでは750円/㎏との値もついており、サイズによるバラつきが見られている。
9月下旬からは鹿児島や高知、愛媛を中心にブリ新物の出荷が本格化するが、出荷サイズの在庫量が昨年を下回っているため年末にかけて大幅な下げはないとの声もある一方で、需要減から浜値は例年通り、じり安状態で推移するとの見方が多い。需要とのバランスが今後の浜値に影響を与えそうだ。

<カンパチ>
カンパチは4月当初には出荷サイズの品薄感により、鹿児島にて浜値が950~970円/㎏まで上昇した。しかし、この価格上昇が需要を低下させ、新物出荷が開始した7月後半以降も売れ行きは厳しく、9月上旬現在、900円/㎏まで下落した。また、今後についても在庫は潤沢であり、香川県内でも出荷が始まったことから出荷サイドにとっては厳しい見通しとなっている。
一方、養殖現場では近年殆んど確認されなかった腎腫大症による稚魚の斃死に悩まされた。また、例年通りノカルジア症や新型連鎖球菌症による罹病魚の他にも特にイリドウィルス症による斃死被害が顕著となった。
生餌や原油高騰も相まって生産者にとっては二重苦、三重苦となっているが、中国から輸入した稚魚ではなく国内で人工孵化したカンパチの養殖技術確立を目指して、ここ数年では一部生産者に種苗が試験的に導入されるなど各地で試みがなされており、今後の動向が注目される。

<ヒラマサ>
長崎県を中心に主に北九州地区で養殖させているヒラマサの浜値は、今年の2月頃には在庫余剰感から低迷し700円/㎏程度まで下がったが、その後徐々に持ち直し、夏場には一転して品薄により950円/㎏まで上昇した。現在は850~900円/㎏で推移している。しかし、カンパチ相場の影響を受けやすく、市場需要もカンパチにシフトしつつある状況から今春のヒラゴ導入量は減少している。

<アユ>
生産量は引き続き減少傾向にあり、養殖生産量は対前年比93%の5,807tとなり、6,000tを下回る水準まで落ち込んだ。放流量も対前年比96%の1,010tと4年連続の減少となっている。この要因として、依然として低迷を続けている市場価格と冷水病やボケ病などの疾病による歩留り悪化が挙げられる。
河川放流量に占める種苗の産地別割合はここ数年、湖産種苗が約23%、海産・河川産種苗が約13%、人工種苗が約64%とほぼ同じ割合で落ち着いている。
全体の養殖生産量が減少している中、県による差が出てきている。岐阜、愛知、滋賀県ではほとんど生産量が変化していないのに対し、栃木、静岡、和歌山、徳島、宮崎県では大きく減少している。前者の県には年間生産量200t以上の大手業者があり、そこでは疾病対策などを徹底することでトン当たりの生産原価を下げ、現在の市場価格に対応している。
今シーズンの市場価格は入荷量が少なかったためか、前年より若干高い価格で推移してきたが、生産者サイドにとって依然として低水準であることには変わりない。また、冷凍アユの生産者在庫は昨年に引き続きほとんど無い状態である。
以上のことから、アユ養殖業界にとって厳しい状態が続いており、今後も早急に回復する見込みが少ない中、生産者の経営状態の差は徐々に広がりつつあるように感じられる。今後は、疾病対策強化による歩留り向上の可否がカギとなりそうである。

以上

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