2005年アルテミア耐久卵の需給動向

2005 年 GSLアルテミア耐久卵の動向  平成16年12月12日 太平洋貿易(株) 浅田 雅宏
1.湖の状況
米国ユタ州グレートソルトレーク湖(GSLと略記)地方では昨年(2003年)同様、この夏も降雨のすくない天候が続き、水面レベルは低下状態のままです。そのため塩分濃度は18%まで上昇、ブラインシュリンプの生存の限界濃度近くまできております。今後の降雨の予測はたちませんが、12月になってから、天気は荒れ模様で、周辺山岳部にはかなりの降雪が観測されています。従って春には水分の流入はあると思われますが、その先は分かりません。
2002年には8%であった塩分濃度が今年18%までも上昇するということになると、湖水の浮力が増加し、それまで湖底にあった古い卵や水分を多く含んだ卵が浮上し、今年産生された卵と混ざってしまうことになります。今年の産生卵の品質は冬眠熟成期間終了の2月頃まで確定できず、ましてや、湖底の卵が混合されてしまっては、品質に対しては悲観的な見方が一般的となります。

2.操業
現地の採集業者は各社の事情もしくは自社の品質判断で採集を行うかどうか決めているようです。現在3社が操業しております。2社が湖上で、1社が湖岸で作業しております。湖上の2社は大手ではありません。収穫業者全体のうちライセンス数で80%以上を占める大手2グループは操業していません。
操業中の1社は孵化率の過酸化水素を使った予備試験の結果85%以上が期待できると楽観的な見方をしているようです。(ただし過去にはこの方法での予測の的中率は極めて低いようです。)他の1社も今期の卵は、殻にひび割れもなく、色も悪くなく良質と判断しているようです。他方、操業を行っていない業者は、品質の判断を厳しくみているようです。成虫は余り携卵していなかったのに水中の卵数が多いことは前述の、古い湖底卵の混入に起因しているとみています。操業していない、大手の2グループの一方は最高品ではないものの、在庫の逼迫感はなく、しかも今期も採取するほどの品質が望めないとみております。もう一方はアルテミアビジネスへの失望感があると現地では噂されております。

3.収穫状況
品質についての判断に関して各業者とも、自らの予測に確固たる自身は持っていません。つまり実際の品質は、冬眠熟成期間が終わって最終製品化してみないと分からないということです。
また、収穫を行っていない業者も状況が変われば、採集を開始する可能性ありと言うことでしたが、採集を行っていた1社が12月になって品質が落ちてきたのではという判断から操業を中止している状況からすると、今後新たに採集を開始する業者はないのではないかと思われます。

需給動向
DWR※のデータ(表-1)によりますと、今期の採集量は昨年の同時期に比べると多くなっております。昨年以前高品質在庫はほぼ出尽くした様で、実際、日本国内に出回ってくる商品にも品質の低下がみられます。現地では日本以外からも、高品質の物の問い合わせが散見されるようになってきております。対日輸出価格も2004年11月から確実に上昇してきていることから、来年2月になっての新物の品質次第では、数年前のような暴騰はないにせよ、ある程度の上昇はさけられないかと思われます。
※State of Utah, Department of natural Resources, Division of Wildlife resources

 

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