2011年アルテミア耐久卵の供給見通し

2011年アルテミア耐久卵の供給見通し
米国GSL産:収穫順調、ふ化率は?
中国産:日本向け渤海湾産は減少で価格上昇

2011年1月21日
太平洋貿易株式会社
代表取締役会長 田嶋 猛

2010年11月までに日本国内に輸入販売されたアルテミア耐久卵は米国グレートソルトレーク(GSL)産35.9ton、中国渤海湾産が6.6tonであった。双方の品質は、ユーザー側への低温保管が周知したこともあり、非常に安定しており大きなクレームはなかったようである。
過去10年間の日本国内の年間消費量は約47tonである。米国産の品質低下の年は中国産の輸入が増加するが、日本で消費されるアルテミア耐久卵は米国産が主体である。( 表1、図2参照)

<備考:本レポートは(有)湊文社発行月刊アクアネット2011年2月号に掲載されています。>


米国GSL産の状況

現地からの情報によれば、今シーズンのバイオマス収穫量(2010年度産)は2011年1月初旬にて規定量に達している。1月中旬時点では卵密度(cysts/㍑)が低下しているため休漁中でまだ終漁はしていない。ソルトレーク湖面は相変わらず低水位が続いているものの、表2で示したように収穫量は多く、特に湖面・湖岸の収穫量が過去3年で最も多い。これまで湖面が豊漁のときの品質は良いと言われており、高孵化率卵がリーズナブルな価格で輸出されることが期待されるところである。現在、現地で孵化率および品質確認を行っており、今後、高孵化率卵の実際の収穫量、および価格が明らかになっていく模様。現時点での生産者(売り手)側の情報は例年同様だが「本年も高孵化率卵は歩留まりが低いのでは」とのことである。


中国産渤海湾産の状況

今シーズンの中国産アルテミア耐久卵の大きな動向としては高孵化率(いわゆるハイグレード)の卵、および低孵化率(いわゆるローグレード)の卵の品質、価格における完全二極化が挙げられる。
一口に中国産のアルテミアと言っても大きく二つに分けられ、現在日本でも主に流通されている渤海湾産と、青海省などの塩湖で収穫される内陸産がある。ただし後者は孵化率が低く(60-80%)、主にエビ用として安価で販売されており、日本国内における海産魚養殖市場にはほとんど流通されていない。またここ近年は著しい不漁が続いていた。しかし今シーズンからこの内陸産のもの収穫が大きく好転しており、また同様に今まで不漁が続いており、内陸産と同等のロシア産、カザフスタン産等の収穫も増えていることから、ローグレードの卵の供給量が著しく増加し、またそれに伴う価格の下落が予想される。しかしながら、ハイグレードの渤海湾産については、昨年の本稿でもお伝えしたように、依然として収穫量は減少の一途をたどっており、特に今シーズンは近年の中でも最も大きく収穫量が減ることが予想されており、それに伴い価格の大幅な上昇が懸念される。

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