2008年GSLアルテミア耐久卵の供給見通し

2008年1月15日 太平洋貿易㈱代表取締役専務 浅田 雅宏(あさだ まさひろ)
GSL(グレートソルトレーク)の状況

今期も例年通り2007年10月1日から今シーズンの漁がスタートしました。湖は例年になく水位が低く、収穫量が懸念されていまして、現地からの報告では11月末には、平均水位より4フィート程度低く、写真のように、桟橋の高さが船舶の甲板のかなり上にあるという状態でした。
また、南湖、北湖を分けるcausewayと呼ばれる大陸横断鉄道の両側を見ても、従来線路際ぎりぎりまで湖水のあったところが、南湖(写真右側)の湖岸線はずっと後退しており、北湖(写真左側)は一面の塩野原という景色です。
収穫状況
直近(1月11日まで)の収穫量を見てみますと、バイオマス(収穫後水分を切った状態)で1,300万ポンド、 昨年同期の1,600万ポンドの約81%です。ただし、今期の収穫場所が昨年と大きく違い、湖岸では昨年の40%増の600万ポンド。さらに昨年には収穫のなかった、pond(池)で全体の約11.5%にあたる約150万ポンドの収穫がされており、もっとも良質の卵が採取される湖上では、昨年比55.4%減の570万ポンド(今期全収穫量の43,8%)にとどまっています。今期は湖水中の浮遊卵数は多いものの、風や天候、塩分濃度の具合もあって、湖上に卵が筋状に集まり収穫ポイントとなるstreakが形成されず収穫量が伸びなかったものです。その分湖岸や池での収穫が増えているともいえます。
品質及び価格の予測
気になる品質の点では、現時点ではまだ予測はむずかしいものの、当初収穫時にすでに耐久卵が孵化しているなど、今までになく最悪と言う声も聞かれましたが、10月当初に採取されたものは大きさも揃い、色も良いといわれています。
現地では一月中旬には、通常冬眠期が終わるので、最終加工を予定していましたが、最新の情報では、冬眠期の終了が遅れており、加工を2月中頃まで延期したと報告されてきております。
現在、一月末の漁閉鎖日まであと2週間程度を残す状態でありますが、今後収穫漁が飛躍的に伸びるとは考えられず、日本で需要のある孵化率90%以上の高品質卵は獲れてはいるものの、絶対量の不足は避けられないものと思われます。これらの要因から価格は上昇するものと思われますが、現地では、過去に異常な価格高騰により需要減少を招いたという苦い学習もあり、販売価格の調整がある程度行われる動きもあります。
日本国内では在庫が減少時期であり、本年の優良品の手当が遅れる可能性があることから、2-3月に孵化率90%以下の使用を余儀なくされることになるかもしれません。

今期のGSL産アルテミア卵は品質、価格、供給時期いずれも需要家にとって厳しい状況にあり、既に20~30%値上げの情報が現地から聞こえてきます。こういう状況の中、以前より孵化率等の品質が安定してきた中国産アルテミア卵の輸入量が増加するかもしれません。

PAGE TOP