2004年アルテミア耐久卵の需給動向

2004年アルテミア耐久卵の需給動向 太平洋貿易株式会社 浅田 雅宏
グレートソルトレーク湖の状況

湖の状況:
日本で消費されるアルテミア耐久卵(いわゆるブラインシュリンプエッグ)の最大の産地である米国ユタ州グレートソルトレーク湖(GSLと略記)では今年は気象の影響で水位が下がり続けています。一昨年あたりから比較すると8フィート(2.4m)近くも下がっています(写真1)。収穫の為の係留地では桟橋が使えなくなっているところ(写真2)もあります。湖水塩分濃度が19%近くにになると親アルテミアそのものの生存が難しくなりますが、現在は16~17%にまで上昇しており、状況の変化に注目しておく必要があります。冬場になり荒天で休漁する事が多くなっていますが、この雪などによりできる真水の層により卵がハイドレーションをおこし孵化率の低下という影響が出る可能性があります。

操業:
今年は最初から操業していない会社や、操業を中止または縮小するところがほとんどです。INVEグループも操業数を減らし、他の大手2社も湖上では操業していません。操業しているのは今現在7社程度確認されています。DWRの操業許可件数からいうと約1/3程度です。

GSLでの収穫状況
この秋は気温が下がらず、10月1日の解禁日になっても収穫できる状況ではなかったようです。今現在も収穫は続いていますがDWR※の発表(表1-1)によれば昨年同期に比較して収穫量は激減しています。


上記のように昨年同期の収穫量の僅か17%にしか過ぎません。ここに示す収穫量とは製品化処理前のいわゆるBiomassの重量です。

日本国内での動向予測
此処で大胆ですが現時点の収穫量から日本、韓国、ヨーロッパで需要がある孵化率90%の出来上がり数量を予想してみます。
Beach, Pondsの収穫物は品質的に問題があるのでLakeで収穫された約1,850,000ポンドものから試算してみます。これを洗浄すると歩留まり40%で、さらに乾燥処理工程で60%程度のロスが出るので、最終的には製品として、300,000程度のものになると思われます。
このうち孵化率90%のものがどの程度得られるか1月下旬頃までわかりませんが、楽観的に見て30%とすると約90,000ポンド(約40トン) であり日本国内の需要すら満たせないことになります。

以上の状況からアメリカの輸出業者は、解禁当初から在庫の値上げは必至なので年内が輸入のチャンスと言い続けており、2004年の年明けとともにさらに20~30%アップとするという情報を流してきています。2003年の輸入量(表2)が例年に比べ約50%に減少しており国内在庫も少ないことから価格上昇は避けられないと思います。

ただ、一部の業者では資金繰りのための換金売りも見受けられることや、東南アジアでは中国産(カザフスタン、ウズベキスタン産も含む)が流通して価格が下落していること、また日本ではここ数年需要が減少してきていることなどからGSL産の輸出業者の思惑通りになるかは今のところ不透明です。いずれにしろ90%以上の高孵化率の品物がどれだけ出来上がるのか、価格がどの程度になるのかは2004年2月以降にならないとわからないということです。

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