ACNレポート 年頭の挨拶

2007年1月1日 ACN代表 田嶋 猛
正念場を迎えた増養殖先進国日本

今年の旧正月は昨年より20日遅く2月18日でありそのためが年末の12月に入ってもぽかぽか陽気が続きホカホカの鍋を囲んで一杯という雰囲気ではありませんでした。その影響で大豊作の白菜などは自主廃棄され、ポジティブリスト施行により輸入減少(価格上昇)が期待されたトラフグは逆に昨年より早くシーズン開始の11月初旬から値崩れが始まるなど、ようやく明るい兆しが見え始めていた増養殖業界にとっては晴れ間の見えない薄曇の年の瀬となりました。
しかもこの業界のリストラはまだ続いています。15年前は全国で70社近くが年間2000万尾出荷していたヒラメ稚魚が昨年は22社800万尾に減少しています。しかし1社あたりでは出荷量が逆に増加しています。種苗業者もマダイ、ヒラメ、トラフグ、アユ、シマアジなど数種類生産していたところを2魚種に集中するなど各社得意分野に経営資源を集中しています。昨年1年を振り返ってみましても春先からのマダイ、ブリ、ヒラメの魚価の上昇に対して配合飼料及び燃料油の値上げが水を注した形となりました。このようにここ数年休みなく続くサバイバルレースを勝ち抜くためには 1> 高品質稚魚、成魚を生産すること 2> 安定した販売先を確保、維持すること 3> コストアップを極力抑えること この3点が肝要かと思います。たとえば陸上養殖場や種苗生産場では加温冷却排水から熱を回収して再利用することや酸素付加により注水量を抑えるかまたは収容密度を上げるなどして電気代を節約したり水槽当たりの生産数量を増やしたりするコストダウンに早急に取り掛かるべきだと思います。
日本国内での刺身に代表されるいわゆる高級魚といわれる魚類の消費量はアジアからの旅行者の増加で少しはカバーされることになりますが今後数年間は団塊の世代の現役引退に伴いが確実に減少するでしょう。一方、中国、韓国の通貨が日本円に対して上昇すると思われますので輸入による養殖魚価下落状況は現状よりはひどくならないでしょう。したがって勝ち残った会社はしばらくは安泰だと思いますが、周辺国の技術革新による競争力アップは懸念されます。20年前に産声を上げた韓国のヒラメ養殖はわずか10年間で生産量において日本を追い越し現在に至るも日本の生産者は韓国からのヒラメ輸入に敏感に反応している状況です。韓国で資金を出したのはソウルに本社を置く生保、食品、化学などの会社でした。資金の出所こそ違うものの中国においても同様の手法で大規模養殖場が生まれています。今この瞬間、種苗生産や養殖技術分野でアジアの中で優位に立っている日本も直ちに国家を挙げて脱魚粉原料による飼料開発、エネルギー節約技術開発、人材育成に取り組まなければ養殖先進国日本の面目維持は困難になるでしょう。

PAGE TOP