養殖用種苗生産中間速報<2005.09~12>

<マダイ>
作年(2005年)秋導入予定であった越夏分について、特にイリドウイルス症の被害もなく順調に飼育できていたものの、四国エリア養殖業者の生産意欲低下の影響で荷動きは悪く、立仔(夏越し年内販売稚魚)、秋仔(年内販売稚魚)の導入尾数は例年より少ない模様で、バイオ愛媛・吉川水産・近大など計1000万尾程度の出荷尾数と推測される。(生産業者も予約・注文分しか生産していないとのことだが・・・。一部地区では秋口に白点病が発生して、出荷に影響の出た業者もあった。)
今期の生産状況として、山崎技研が最も早いペースで生産しており、既に2ラウンド目に入っている。また、販売についても1ラウンド目を近日中に出荷予定。バイオ愛媛・吉川水産・近大などは春先出荷用として9、10月から生産を開始しており、既に沖だし中で、2ラウンド目は年明けに生産開始予定。一方、ヨンキュウでは生産時期を遅らせており、12月からの生産になっている。

<トラフグ>
年内(2005年10月~12月)の種苗生産業者は長崎種苗をはじめ10社であった。その内1社は生産を中止、実質9社。昨年(2005年)末までの出荷は一昨年に引き続きゼロ、年明けの出荷予定尾数は約30万尾で2004年の55%前後にとどまると思われる。
早期出荷種苗(12月~1月)の海面養殖分は、10月下旬~12月出荷で約800gサイズで中国産・蓄養物とバッテングし、荷動きが悪い上に単価も2,000円/kgを大きく下回る結果となった。今期種苗は中国産とバッテングを避ける意味もあって、早期物は低迷し、4月~6月出荷分に集中すると思われる。
2005年にトラフグ゙陸上循環養殖施設が数社、稼働したものの1年1回転(出荷)のローテーションは未達成で、昨シーズンの種苗販売拡大にはつながらなかった。
早期種苗価格は昨年並み、7cm Upで浜値105円~110円(歯切り+10円)で販売される模様。今後、中国産に太刀打ちできるのは10月時点で1.1kg/尾Up、安全、肉質良好、白子持ちが必須要素となると思われる。

<ヒラメ>
年内(2005年9月~12月)の種苗出荷尾数は、一昨年(2004年)同期間の250万尾を下回ったとみられる。九州地区での出荷尾数が減少したことが要因となっている。出荷尾数減少の要因は、黒化・白化・ウイルス疾病・奇形など様々であった。
ヒラメの国内消費は長期的には減少傾向にあること、韓国からはコンスタントな輸入が続いていること、国内のヒラメ養殖の不調、成長の遅れなどの要因で、養殖タンクが空かず結果として年内の稚魚導入数量は減少したと思われる。
稚魚出荷サイズは昨年同様7cm UPが主流で、浜値80~85円/尾(運賃・税別)であったが、10cm UPの稚魚も出荷された。年明けの出荷は、ボイラー用燃料価格の高騰を受けて昨年同様の価格で販売される模様。

<シマアジ>
近畿大学、山崎技研、ノグチフカが昨年11月からマリンパレスは年明けからの種苗生産だが予約・注文は激減しており「販売確実な数量以外は生産しない」(山崎技研 山崎専務)など今期の種苗生産量は激減することが予想される。別途相当数の中間魚(昨年種苗生産分)在庫がありその動向が注目されるところである。

<その他 中国スズキ>
昨年1000円/kgまで上昇した中国スズキ(大陸スズキ)の種苗生産が10年ぶりに注目されており国内唯一の受精卵供給元であるカネト水産に注文が殺到している。種苗生産は昨年末にカネト水産ほか1社が開始しており年明けからは更に4社が予定している。
昨年秋には中国から中間魚(18cm、230~250円/尾)が約100万尾輸入されており主として愛媛県で養殖されている。

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